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Ruffle Boxer

 ここは違法賭博格闘技を行うコロシアム。今日の試合はボクシングだった。
リング上では屈強な男が華奢な少女に一方的に殴られている。もっとも少女が
華奢というのは男と比較したからであって、その身を良く見ればアスリートと
してトップクラスの鍛えられた肉体を有しているのが分かる。
 違法賭博とは言えこのコロシアムは世界ランキングの試合が行われる会場の
様な豪華さを誇っていた。そして、このリングへと上がれるのもは極一握り、
このリングへと立つのは街角や路地裏、廃倉庫などで試合を勝ち抜いてきた者
達のみ。その殆どが素行不良で選手資格を剥奪された、或いは強すぎて対戦相
手が現れずに干された等という者ばかり。皆、表舞台での活躍は望めなくなっ
たが格闘技への未練が断ち切れず、闘いの道を求めていた。
 そんな強者ばかりが集うコロシアムで行われる闘いは会場に釣り合うハイレ
ベルなものばかり。その中でもリング上で屈強な男をしかもこのリングで王者
と呼ばれた男をまるでサンドバッグを打つかのごとく一方的にパンチを浴びせ
る少女は異彩を放っていた。

左ストレート

少女の強烈な左ストレートが男の死角から右の頬を撃ちぬく。玉の様な汗が
飛び散りリングを照らすライトの中で輝いた。
 そんな中、男の頭蓋骨がシェイカーと化し脳が激しく揺さぶり、鍛えられた
首が衝撃に耐えられず左へとねじ曲がる。男の脳が真っ白になり全身から力が
抜け、足をもつれさせよろめいた。
 屈強な男がフリルとレースに飾られた衣装を纏った可憐な少女に打ち倒され
る、そんな光景を予想した観客たちからどよめきと歓声が沸き起こる。しかし、
男は崩折れそうな膝を叱咤し必死にファイティングポーズをとった。観客から
安堵と嘆息のため息が漏れる。
「今のを持ちこたえましたか?流石にタフですね、王者さん」
 なんとか持ち直した男へ対して少女は皮肉を漏らす、彼女は微笑を浮かべて
いた。

 男はまだパンチの衝撃でぼんやりとする頭を振り、意識を奮い立たせようと
する。そんな行為はリング上では自殺行為で在るはずだったが、彼と対峙する
少女はあえてその様子を見守っていた。
 男は少女とリング上で相対した瞬間に彼女のリングコスチュームとしては奇
抜な格好に正気を疑った。だが、今は自分の正気を疑っている。試合開始直後
から自分の半分も体重があれば良いような少女に一方的に打ちのめされ甚振ら
れ、嬲られた男はこれは悪い夢だと思い込みたかった。
 しかし、少女のパンチを幾度ももらい頬や顎に残る痛みや何度も押しつぶさ
れて悲鳴を上げる肝臓、腎臓、胃等の数々の内臓、そして呼吸をする度に肺を
襲う焼けるような感覚はそれが現実だと訴えかけてくる。
「ほらほら、どうしたんですか?このまだと貴方に賭けた皆さんを損させてし
まいますよ」
 肩で息をし。両の腕を構えるのがやっとと言う中、自分の置かれた状況に思
案する男を少女は挑発する。男は少女の言葉に残る闘志をかき集め少女へと向
かっていった。

 男のフットワークは試合序盤で見せた精彩さは陰もなく、ノロノロとしたも
のだった。対する少女は男を惹きつけ彼がパンチを撃つと閃光のような速さで
しかも、最低限の動きで躱していく。その様子はまるで亀とうさぎのようだっ
た。
「頑張ってくださいね、私の身体じゃ貴方のパンチが当たれば一発で逆転され
てしまいますから」
 なるべく大振りのパンチを控え、繰り返される男のジャブを掻い潜りながら
挑発する少女。男はグッと堪え更にジャブを繰り出す。そこへ少女のカウンタ
ー、機関銃のような速さでの連打が散弾銃のように男の顔をあらゆる方向から
打ちのめす。
 スタミナを消耗しきった男の顔が首振り人形のように揺れ、頭蓋骨がシェイ
カーと化し彼の脳をカクテルのように混ぜ合わせる。これまでの試合でかなり
のダメージを負っていた脳にさらなる衝撃が加わり男の脳は機能不全へと陥っ
た。そこへ少女のボディ・ストレートが伸びていく。

 呼吸が乱れた男の筋肉の動きを観察し完璧なタイミングで外部からのダメー
ジをもっとも受けやすい瞬間を狙った一撃だ。ただでさえ力が入らないと言う
のにより脆弱な瞬間を狙われた男の腹筋に少女の拳が深々と突き刺さり、彼の
腹筋のさらなる脱力を誘う。
 少女は間髪入れずに彼のボディを攻め続けた。少女はボディ・アッパーを右
左、2発3発と繰り出し男の鳩尾に追い打ちをかける。
「うぶっ、ぐっ、げぇっ、ごぶっ!」
 少女のボディ・ブローに男がうめき声をあげる。更に容赦なく少女はフック、
アッパーを打ち分け、男の肝臓、胃、腎臓等の内蔵を抉り続けた。その度に男
の喉からうめき声が漏れる。

ボディ・ブロー

 少女が男のボディを乱打する音と彼の苦悶の声がしばし続いたが、一瞬、そ
れらが止んだ。直後、男の身体が脊髄反射で反撃の右フックを繰り出す。僅か
に残る闘志と力を全て賭けたその一撃は今にもダウンしそうな男が繰り出した
とは思えない鋭く重い一撃。しかし、虚しく空を切る。
「残念、惜しかったですね」
 少女は上半身を反らせて男のフックを躱していた。次の瞬間、男のがら空き
の脇腹を少女の一際、強烈な左ボディ・フックが襲う。
「がはぁっ!」
 男の肋骨が軋み、肝臓が押しつぶされる。口からマウスピースをはみ出させ
ながら男は膝をついた。即座にレフェリーが試合終了を告げた。
 男は座り込んだまま白目を剥き失神していた。その姿は所謂、女の子座りと
呼ばれる姿に告示しており、王者と呼ばれた威厳を完全に失っていた。
 そんな男を尻目に少女は勝利を喜び、リング上を跳ね回っている。その姿も
また屈強な男を一方的に殴り倒した猛者とは思えぬ、愛らしさを振りまいてい
た。観客はその姿にひたすら歓声を上げている。

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